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そこまでリサーチセンターをきちっとつくる気があるならば、お金集めをしようという動きはあるんだけれど、本当に難しい話で、ものすごく人材は払底しています。

だから今、かなり名のある人を集めちゃうとだめだと思います。今の学生で相当意識の高い者をピックアップして、現場にインターンとして放り込んで、訓練をして、研究員に育っていくという作業が必要で、それをどこがやるかというと、国立ではなくてNPOだと思いますけどね。大学じゃなくて、演劇学校はNPOじゃないかと思います。

B 関連して、俳優座の養成所をやめて、学園で合体しましたね。これは成功しているんですか、失敗しているんですか。

市村 失敗だと思います。一言で言いますと、日本の場合は役者さんや演出家はだれが育ててきたのかということです。日本の場合は劇団というのが全部一貫生産をしてきました。日本の企業と同じで、全部そういう一家をつくってきているやり方がもう限界にきているということなんです。

かといって、イギリスのものがいいという思いもしていないんです。イギリスはどうしているかというと、劇団と養成機関は別のものなんです。養成機関でつくった俳優などを、劇団のディレクターはピックアップしていく。俳優は俳優のユニオンをつくっている。

これでいいのかなと思います。そうじゃないという気がする。

司会 申しわけありません。お時間の方が過ぎておりますので、別室にてコーヒーのご用意をさせていただいております。そちらでまたごゆっくりお話をしていただきたいと思います。

C 新しい動きの方ですね。例えば、桜美林大学、平田オリザさんとか、宮城サトシさんなんかがいっているところが、地元の自治体がそこに劇場をつくる、大学と劇場と一緒になって展開するというのが出てくると思うんですが、そういう意味でいろんな新しい動きが現にある。

市村 いっぱい出ると思います。やはり若い人たちは、どんどん入りたがっています。でも本当に思いつきの動きなんですよね。いくらでも思いつきますし、何をやってもできますけど、ほとんど思いつき以上に出ないな、それが全部合わさったときにどういう絵図がかけているかというのがないんだよというところなんです。

 

 

 

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