一生懸命生きている姿がそこにあるのですが、実はこの家庭は次の日には崩壊していますというようなナレーションがあって終わってしまいます。
実は平田オリザという人の芝居を見ても何も起きない。日常を違った見方で表わしますというのが平田オリザですから、本当のことをいうと、われわれ日常というのは、事件は起きない。そんな事件の起きる日常はないよということでして、何もないものこそ物語なんですという主張がその裏にはある。演劇もそこまでいっちゃったわけです。その後どうするんだというようなところまで射程に入れて文化政策を考えなければいけない。システム作りより以前にそういうところを相当やらないといけない。
リアルタイムで芸術がどんな解決すべき問題を抱えているのかということをきちっと調べる研究機関がないと、文化政策ですら立てられないなと思っています。