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これは為替レートがどうなるかにもよりますけれども、日本はかなり大幅な貿易の黒字を抱えて、アメリカの貿易の赤字は簡単に縮まらない。我々がやはり当面心配しなければいけないのは、いわゆる古いタイプの貿易摩擦がまた今年あたりから非常に出てくるのではないだろか。この貿易摩擦については、実はアメリカの議会が非常に大きな役割を果たしていたということが歴史的に言えるのではないでしょうか。どちらかというとアメリカの議会がホワイトハウスを突き上げる。そして日本を批判する。ホワイトハウスは議会をなだめるために日本に対してかなり強硬な政策を採らざるを得なくなって、これが現実に貿易摩擦になってきたのではないか。アメリカの議会はそういった対外的な不均衡問題に対して、どのようにここ1、2年反応していくとファンダーバークさんはみておられるでしょうか。日米摩擦の激化を懸念する日本の方が今日が多くお見受けしますので、その点についてもコメントしていただければありがたいと思います。以上、よろしくお願いいたします。

吉原 どうもありがとうございました。非常に明瞭にポイントをいただきました。今の4点についてファンダーバークさんからコメントをしていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

ファンダーバーク ありがとうございました。竹中先生がおっしゃったことのかなりの部分は、今までの伝統的な見解を反映したものといえます。しかしながら、どのようにしてそれに答えればいいのか分かりませんが、先生がおっしゃった前提条件すべてに私が賛成というわけではありません。例えば、ある程度限界的なところでアメリカの貧富の差が広がっているということが言えるのかもしれませんが、実際のところアメリカ経済は成長し、アメリカ人のほぼ全員の富が膨らんでおります。失業率は下がっておりますし、アメリカ人の所得も増えております。ですから一方にはビル・ゲイツのように大儲けをしている人たちももちろんおりますが、確かに中産階級も増えているということが言えると思います。中産階級は減少してはおりません。

次に政策の対立軸についてですが、社会的なセーフティーネットに関して言えば、先ほど申しましたように共和党と民主党の考え方の違いがあることは確かです。民主党は連邦政府にいろいろな問題の解決策を求めています。共和党の場合はむしろ個人と地方政府にできる限りの解決策を出してもらおうとしているわけです。もちろんなかには、国防、国家治安、社会保障など、一部連邦政府が解決するべきもののもあるということも承知しております。

 

 

 

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