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それから、II分類というのが問題になっているのですが、II分類のすでに10%ぐらいはIII分類、IV分類にいったと思うのです。そういう動きがどんどん続いて、20%、30%、またやはり損失だということになった場合には、II分類の30%、50%といった分にあたるものがロスになる可能性があって、これを前提に計算すると、例えば前期分の処理額も合わせて15兆、23兆です。ですからこの前やった分8兆円ぐらいを引いていただいて、7兆とか15兆円が今期の要処理額と計算されます。その横の2つも同じようなものなんですが、ざっくり言うと大体10兆円前後の不良債権コストが少なくとも残っているわけです。

これは、別に私だけが言っているわけではなくて、当局の一部の方に聞いても、もっとすごい試算を言われる方もおりますし、それから皆さん銀行行動をみていただければ、「なぜこれだけ体力をつけさせてあげていろいろとやっているのに、貸出をしないのか」と考えれば、やはり銀行はいまだに潜在的なリスクを抱えていることを自分たちで分かっているからだと推測されるわけです。景気のことに関しても楽観視していないようだし、もともとある潜在不良債権がどうなるのかが銀行自身で分かっているなかでリスクをとらないんだと思います。

ですから、こういう不良債権の問題というのは、やはりどんなきっかけで表面化するか分かりませんが、ちょっと銀行が慎重姿勢を強化しただけで、また中小企業がつぶれていくというようなことは容易に起こってくると思います。

だから、今なんとなくポジティブな、あるいは中立的なシナリオがマーケットに続いていると思いますが、大体下期の半ばぐらいからは銀行自身がより慎重な行動を取り始めるでしょう。どんどん潜在的不良債権を回収していくことになると予想しています。例え一度には潜在的損失が出てこないとしても、2、3年間ぐらいはずっと高い処理コストが続くというようなことは十分考えられます。

今から2年後あたりにペイオフが解禁されることが問題になっています。一方で、2、3年もすれば一段のイノベーションがまた進みます。弱い銀行はすでにかなり競争力を落としています。そうしますと、長信銀、信託銀行ともかなり厳しい状況におかれることが想定されます。それから大手都銀の中にも懸念されるところがあります。

 

 

 

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