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だから、そういう銀行に関して、もし不良債権の要処理額というのはここにあるぐらい想定されているとすると、かなり大変なことになるのではないかと思います。いろいろと申し上げましたが、とにかく金融はまだ再生されたわけではなく、単に返却すべき自己資本が注入されただけで、それによって経営者が、あるいは社会も含めてかなり安心しているけれども、やはり生き残りをかけた、これはやらなければいけないという危機感がなく、それによって変わらなかったら日本の金融は再生されず、産業も弱まる一方ということになりかねないのです。

どうせそんなにすぐに変わらないわけですから、10年をかけた変化というのしか期待できない。でも、ここで注意すべきはイノベーションが起こっていることにより、簡単に参入してこれる産業があるということです。

昨日、私は米国の投資家やアナリストとインターネット・コンファレンスというのをやったのですが、銀行に関してはブランチが例えば5年後に全部なくなることはないだろうと言っています。別会社で別のビジネスとして、インターネット・バンキングを始めている銀行、例えばファーストユニオンとかバンクワンとか、シティーコープが出てきています。そういう銀行は何で始めたかというと、本体でのリターンがどんどん下がってきているから、それを補うために人件費を削って設備投資をして、インターネット・バンキングという新しいビジネスを切り開いているわけです。

日本でも、インターネット上にホームページを開設していますが、サービスの品揃えは全く評価できません。今後サービスを向上させるために設備投資を増やせば、経費というものは、むしろこれから上がっていくと思うのです。健全化計画上の経費を見直さなければ、さらにリターンは悪化です。ここでも米銀のビジネスモデルに負けています。

ですから、一発逆転ぐらいの気持ちで、経営者が何かを決断していただかないとだめかなというふうに思います。ちょっと長くなってしまって申し訳ありませんでした。

 

 

 

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