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松井証券と大手の違いは何かというと、大手というのは相当な数の営業を抱えているわけです。これを例え3割インターネットでやろうといったって、ここからさらに3割も削れるのか、店舗を削れるのかというとそうではない。それからコンピュータシステムが確立されていますから、この既存の経営システムに合わせたコンピュータシステムを利用していこうとするのではないでしょうか。すると、期待しているほど収益性を改善できない可能性も懸念されます。

アメリカのインターネットブローキングはどうかというと、そうではなくて、すべてが自動的にイクゼギューション(execution)されるというシステムが使われているので、管理する人はいるとしても、セールスマンは要らないようなシステムになっている。しかし日本の場合、上記のような問題があってなかなかそうはいかないわけです。今のリストラは大失業を恐れる政治や社会の体制に甘えた形になっていると思いますし、社会も今の緩やかなリストラでいいんだとはしていますが、イノベーションという問題が規制緩和とともに進行している日本のビッグバンは、欧米のそれ以上に激しい改革を必要とするのではないでしょうか。

もう1つ2つちょっとポイントだけ申しますと、FRC、金融再生委員会というのがあります。マーケットで非常によくやっているという評価を受けています。そして歓迎をしているみたいです。ただ、もう少し真面目に考えてみますと、金融再生委員会が本当に将来の金融のことを考えたリストラや再編をやれるかどうかというと、それにはちょっと不安があります。国民にうけるようなリストラ、例えば運動場を削減してみようとか、相談役を切ってみようとかをしていますが、それは必ずしもROEの向上につながっていない。国民経済にとって本当にいいのかどうか分からないような、むしろ株主の利益にとっていいのかどうか分からないようなことをやっている。

それから、中下位2行を合併させるだけでよしとしている。くっつけると大きくなるわけですから、銀行にとって体力をつけられるわけです。そうするといくら効率的でない再編と考えられても、それを変えることはあと2年とか3年経たないとできないわけですから、本当に銀行を2つくっつけることが経済にとっていいのか。

 

 

 

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