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第2部が「経済調整に対するIMFのアプローチ」ということで、ここではまず一般的なIMFのアプローチ、いわゆるファイナンシャル・プログラミングと呼ばれているのですが、そのアプローチというのはどういうものなのかということを紹介しています。特に第7章では、そのプログラミングに基づいて金融政策、財政政策、為替政策、それから80年代になりますとサプライサイド政策というものが出てきますが、それぞれの政策の考え方、目標などについて検討しています。

第8章ではさらに具体的に、タイ、インドネシア、韓国で危機が発生しましてIMFの融資を受けるとともに、IMF支援のマクロ経済プログラムというのを採用しましたので、これらの国々のIMF支援プログラムの特徴、それから従来のプログラムとの違いなどについて分析しています。

第9章では、IMFの経済政策、プログラムが実際にその国のマクロ経済パフォーマンス、例えば、経済成長率、インフレ率、外貨準備残高などに実際にポジィティブなコントリビューションをしているのかどうかというテーマで一連の実証分析があります。非常にたくさんの実証分析研究がありますが、一応私の知っている限りの研究論文を網羅して、実際にIMF支援プログラムが有効であったのかどうかということについて展望しています。これが第2部で、ここはIMFのアプローチについて分析しているセクションです。

第3部は、「新しい国際金融体制に向けて」と題しまして、まず第10章では危機発生後まだデータが非常に少ないのですが、少なくとも私が入手できたデータに基づいて、現在の東アジア地域がどのようなマクロ経済、金融構造のパフォーマンス、どのような状態になっているのかということについてまとめておりまして、それとともに、IMFのプログラムがどういう影響を与えているのかということについて触れています。

第11章では、まずIMFのプログラムに対する修正ということですが、ここではIMFのプログラムに対する修正ということとIMFの体制に対する修正ということを分けています。IMFのプログラムに対する修正というのは、あとで時間が残りましたら説明したいのですが、基本的には今の新しい国際経済環境において、プログラムの前提になっている仮説がもう成立しなくなってきているのです。

 

 

 

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