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だから、埋め立てをして海面が狭くなって、魚に絶滅種が出てもあまり問題にしていない。毒が流れていなければいいという、それがいままでの環境庁の発想でした。ところが、生態系が破られる、あるいは絶滅種を回復しようというのが、アメリカの回復計画です。

司会 ほかに何か質問されたい方はいらっしゃいませんでしょうか。

質問 私は市川市から来ました。市川は船橋と東京に挟まれた、三番瀬が続いている場所にありまして、市川の三番瀬を守ろうということで、私たちは市民団体の方々と一緒に運動を起こしています。子供たちにできるだけ本当の海を見せたい、三番瀬にはこんな生き物がたくさんいるよということで、さっき大野先生のお話が出ていましたが、そういうことを毎年、年中行事にして繰り返しています。

しかし、埋め立てをしないということではなく、ずいぶん小さくはなりましたがやはり埋め立てがあります。そういうことで本当にいま残念に思っているのですが、こういうことを皆さんに知らせてあげないと、知らない方がたくさんいます。いまのビデオを見て、すごいビデオだ、あんなビデオをお借りできたらいいなと思ったのですが、このビデオをお借りすることはできるのでしょうか。

大野 著作権の問題がありますが、個人的に見られる分には問題ないと思いますので

質問 ちょうど25日、明日の夜ですが市川の文化会館で、やはりこの三番瀬を守ろうということで講演会が開かれます。国際シンポジウム「埋め立ててからの復元はどんなに困難か」ということで、国際的視野で三番瀬を考えようというシンポジウムがあります。そういうところにも市民がたくさん押し寄せて聞くということになればいいのですが、知らない方があまりにも多過ぎるということがとても残念でなりません。

市川にはいま外環問題が起きています。東京外環道路ですね。25年間ずっと反対しているのですが、反対してきたからこそ、三番瀬の埋め立てが遅れてきているという実情がたしかにあります。外環が通ってしまえば、三番瀬のところにもう1本鉄道が敷かれるということも目に見えています。

行政というのは本当にわかったことを言いながら、実は計画どおりにただただ着々と進めていくだけで、あとでいろいろな問題が市民を苦しませることが起きたときに、謝罪とか言いながらいくらかの借りを返していく程度に過ぎません。やはりつくられないうち、埋められないうちに何かしなければいけないということで、心ある人たちは皆非常に焦るような思いで運動を続けていますが、なかなか思うように進みません。それが国に対する市民の立場なのかもしれませんが。

 

 

 

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