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BVに具体性をもたせるために、「パフォーマンス・マネージメン卜」の新システムが全国的に確立されている43)44)。まず、政府(環境・交通・地域省)と国の監査委員会(Audit Commission)はBVのための「全国パフォーマンス指標(National Performance Indicators)」を合同で設定している。これまでに46の指標が提案されているが、今後現場との協議を通して修正され、また新しい指標も随時追加されることになっている。これらの指標に加え、各自治体では地域の状況に合わせて独自の地域指標も設定しなければならない。自治体ではこれら2つのタイプの指標を満足させる形でサービス改善のための「アクションプラン」を作成し、その達成状況5年サイクルで評価しなければならないことになっている。つまり、自治体では毎年いくつかのサービス分野のレビューを実施し、5年毎にすべてのサービスが必ず一度は見直されるようなレビューサイクルを確立することになる。

BV方式の最大の特色は、アクションプラン作成に至るまでのプロセスにあり、そのカギとなるのが「4つのC」である。すなわち、「コンサルテーション(Consultation)」「比較(Comparison)」「競争(Competition)」そして「挑戦(Challenge)」の頭文字の4Cだが、このうち「挑戦」は他の3つの概念のチェック機能という位置づけになっている。例えば自治体の現場での作業では、BVは大まかにつぎのようなプロセスで決定されることになる45)

1]「既存のサービスの現状」とそのチャレンジ

2]「コンサルテーション」とチャレンジ

3]「比較」とチャレンジ

4]「競争」とチャレンジ

5]将来的に目ざすべきサービスの決定

6]アクションプランの作成

まず1]では既存のサービスが分析され、それが果たして適正なサービスかどうかがさまざまなチャレンジ項目(サービスの目的の適合性、全国基準との比較、本当にそのサービスが必要かどうか、など)を通してチェックされる。つぎに2]では利用者および一般市民、NPOなどとの間で幅広いコンサルテーションを実施する。この場合のチャレンジ項目としては、「市民は既存のサービスに満足しているか」「市民のニーズに即しているか」「対象とすべき利用者にサービスが届いているか」「資源が最大限活かされているか」などが考えられる。3]の「比較」ではまず全国指標や全国各地の先進的優良自治体との比較を行い、さらに地域では地域指標の達成度、NPOなど他の団体が提供するサービスとの比較、さらにの最近3年間の地域動向、当初予算などとの比較を行う。また、この段階で自治体では市民のサービス満足度調査やケアスタッフの職務満足度調査などを実施しなければならないことになっている。4]の「競争」では「特定のサービスを自治体が提供した場合」「営利業者などに委託した場合」「NPOとの協力事業とした場合」など違った状況を設定し、どの方法がもっとも効果的かを検討する。その場合、投資効果はもちろんのこと、地域内に存在する多様な技術や資源をいかに活用できるかも考える。すなわち、そのサービスをどういう方法で提供するのがベストかを、サービス主体にはこだわらず検討するわけである。

 

 

 

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