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この1]〜4]のプロセスを通して望ましいサービス内容と供給方法のオプションをすべて検討し、最後に5]でBVを実現するための5年先の「目標レベル」を、サービスの質、コスト、効率性などについて設定する。そしてそれらの目標値は、設定時点における全国レベル(各自治体の達成度)の上位25%以内の数字として設定しなければならないことになっている。そしてその5年先の目標値を逆算する形で5年間の毎年の目標値を決定する。最後にこれらの数値を盛り込んだ「アクションプラン」をまとめ、5年間のスケジュールとともに、どのような形でモニタリングを行うか(例えば、どのような利用者グループやNPOが参加するかなど)を明確にする。これらすべてを含めた全体計画書は「パフォーマンス・プラン」と呼ばれ、BVの適用を受けるすべての自治体が毎年公表することになる。このパフォーマンス・プランは政府(環境・交通・地域省)の広域事務所に提出され、住宅検査局(Housing Inspectorate)や社会福祉検査局(Social Services Inspectorate)などの検査官がチームを組み、その内容をチェック(監査)することになっている。そうしたチームワークを可能にするための「ベストバリュー検査フォーラム(Best Value Inspectorate Forums)」もすでに設立されている。この監査でベストバリューの達成が遅れている自治体については、政府の権限で指導のための関与ができることになっている。また、政府関与に至る前に自治体の自己評価と自己改革能力を高めるために、「改善および開発エージェンシー(Improvement and Development Agency)」と呼ばれる自治体支援のための独立機関も設立されている。

 

●自治体議会運営の現代化

このBV制度の導入とともに、各自治体での議会運営の現代化も進められている。英国は地方自治の先進国的なイメージで捉えられやすいが、地方議会の運営に関していえば古いシステムがそのまま保持されており、現代的な意味でのオープンさや説明責任、地域リーダーシップが発揮できるシステムにはなっていない。議員はもちろん選挙で選ばれるが、日当と諸経費以外には固定給もなく、ボランティア議員という性格が強い。議員は往々にして家長的な態度をとりやすく、地域についての意志決定も議員の間だけで行い、市民のニーズよりも行政の都合に合わせてサービスを提供するということになりがちである。政策上の問題が出てくれば公費をもっと投入することを考え、公費が足りなければ税金を上げるという道を選択しやすい。

 

 

 

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