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母上の土地代金の残りを兄上が握っていて離さないという問題ですが、母上の口から兄上に対して残金を返せとは恐らく言えないでしょう。この残金は母上のものであり、母上が返せと言わない限り、どうすることもできません。ただ、母上に万一のことがあった場合、兄上が独り占めにしようとする危険性もありますので、あなたとしては、母上にこの残金を含め遺産の全部または相当部分を姉上に相続させるという遺言をするよう説得してみてはいかがですか。母上が納得したら、公証役場に行って相談してみてください。苦労した者が報われず、義務を放棄した者が得をするのは不正義であり、不公平です。

姉夫婦は大変ですが、母上は幸せですね。四人の子供の家を一か月ずつ転々としている老母の話を聞きました。四人はこれこそ平等だというのですが、どうでしょうか。『日本一短い「家族」への手紙』(大巧社)の中の、次の手紙には泣かされました。

「(天国の母へ)『この儘(まま)、此処(ここ)に置いて貰(もら)えたらいいんだけど』聞こえない振りした私、母さん御免ね」(前島えみ子・作)

 

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