この活動がスタートできた背景には、中学校側の先生と施設の理解と協力があった。最初から活動に協力してきた南葛西第二中学校(当時葛西第三中学校)の教師・伊藤庄一さんは「同年齢の集団である学校だけでは限界がある。異年齢や立場が違う人たちと接してこそ、思いやりややさしさがはぐくまれる」と異世代交流の効果を語る。また「なぎさ和楽苑」でも「ボランティア担当」という職を置いて多くの学校を受け入れる体制を整えている。最近は学校の施設訪問も増えてきた。「学校でメニューをよく煮つめてほしい」とは現在、ボランティア担当の平井剛さんの弁である。
ちょうど私がこの喫茶ボランティアに出向いた時は、卒業して高校生になった生徒も来ていて実に楽しく活動していた。強制的な「奉仕活動」ではなく、「楽しく取り組める社会活動」。そんなボランティアのスタンスは若い今どきの子供でも十分心を引き付ける。
学園ドラマとしてかつて大きな反響を呼んだ武田鉄矢主演の「三年B組金八先生」(TBS系列)が新シリーズで復活したが、今回舞台となった中学校では併設されたデイホームの高齢者との交流が描かれている。現在東京都では高齢者関連の施設と学校との併設が十数か所に上る。同局の情報番組「サンデーモーニング」で作者の小山内美江子氏は、「教育荒廃の解決手段の一つは異世代交流」と語り、併設校の校長も「生徒のやさしさや思いやりの気持ちの育成につながる」と現代っ子へのこうした活動の効果を期待している。