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「南部箕蚊屋」の三町一村は鳥取県の西部、中国山脈の主峰、大山の西麓に位置し、県西部の商工業の中心地、米子市に隣接する農山村地帯である。二〇〇〇年の高齢化率は二四・一パーセントに達する見込みだ。これら四町村を束ねた広域連合が取り組む主な仕事は次の通りである。

1]要介護認定の審査および判定事務を除く介護保険に関すること(審査・判定は既存の広域組織が担当)

2]老人保健福祉計画の広域化の調査

3]鳥取県知事から委任を受けた指定居宅サービス事業者および指定居宅支援事業者の指定にかかわる事務

 

介護保険で地方自治の確立をめざす

坂本昭文西伯町長

介護保険には自分たちの町を自分たちでつくっていく仕組みが制度そのものの中にあります。すなわち住民が町づくりに参画し、決定し、その結果について責任を持つという、自己決定、自己責任の仕組みになっています。百人委員会はその実践であり、今後は「介護」だけでなく町政全般に住民に参加してもらいます。99年11月16日には住民のワークショップ「クリーンライフ西伯」から「西伯町の環境行政に対する提言」をいただいています。

介護保険の関連事業は単独ですべてこなすつもりでしたが、人口1万未満では無理と知り、広域連合に踏み切りました。実際に介護保険によるサービス提供がはじまると苦情が増えるはずですが、その際、事業者に対する指導・監督の権限を握っていないとクレーム処理をきちんとし、サービス事業者をチェックして、十分な住民サービスができないではありませんか。

 

地方分権の伝家の宝刀に飛び付く

 

四町村合わせた総人口は二万二〇〇〇人を超える。その結果、単独で実施するよりもリスク分散ができ保険財政の基盤が安定する。また保険料の統一とサービスの融通や調整によって効率的に介護事業を運営できる。このため広域連合は財政力と地域介護力が弱い市町村が生き残るための手段としてクローズアップされているのだが、坂本町長が広域連合に着目したもう一つのポイントは県からの権限委任だった。

もともと広域連合は「多様化した広域行政需要に適切かつ効率的に対応するとともに、国からの権限移譲の受け入れ体制を整備する」(自治省行政体制整備室)ためにつくられた制度である。

 

 

 

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