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小渕総理に"抗議文"を出す

 

鳥取県西伯郡西伯町の坂本昭文町長(五〇歳)は一九九九年十一月九日、小渕恵三内閣総理大臣と丹羽雄哉厚生大臣あてに大略次のような要望書を送った。「介護保険制度の理念や目的に反する保険料徴収猶予は介護現場に混乱と不安を与えるだけでなく、これまで努力を続けてきた市町村や制度の実現を期待する住民をないがしろにする背信行為であって誠に遺憾である。制度の趣旨をゆがめ、市町村の介護現場に大きな混乱をもたらし、情熱をもって制度構築に奔走する地方の意欲をそぐ介護保険料猶予などの制度見直し案は即刻撤回し、法の趣旨に基づいた、よりよい介護保険制度の構築を進めるよう強く求める」

いわゆる自自公合意による介護保険手直しに対する意思表示だ。こんな"抗議文〃を書いた町長はどんな人物なのだろうか?

 

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米子市から岡山県境に向かう国道180号線を南下し、車窓左に雪を頂く大山の秀麗な姿を望むようになると間もなく西伯町である。民家の多くは光沢のある立派な石州瓦で葺いており、石見の国、島根県境に近いことをしのばせる。タクシーでおよそ十五分。西伯町が昨年開設した福祉の町づくりのシンボル、西伯町総合福祉センター「しあわせ」に着く。

内部はデイサービスセンター、健康づくりとふれあいの三ゾーンに分かれ、一階はデイサービスセンターと二五メートル温水プール、二階にはトレーニング器機のそろった体育室、畳敷きの在宅訓練室、浴室などが完備されている。総工費二〇億円。明るく広々とした施設には町長の福祉にかける意気込みが感じられる。

 

 

 

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