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現在、会員は関連会社を含め約二万名、年間約二千万円余もの資金が集まる。「社員の数と一〇〇円という単価が、抵抗感がなく、これだけ多<の資金を集められた理由でしょう。今ではむしろ資金を全国にいかに公平に使うか苦労しています。全国の社員の善意ですから」と事務局を担当する総務部の本田泰三主幹は陰の苦労を語る。

九九年の社会貢献活動への支出は十一件、二七〇〇万円に及んだ。その中には、福岡県、宮城県の身障者・高齢者在宅サービスセンターへの送迎用リフト付きワゴン車二台の寄贈がある。現在までに五台の車がデイサービスを行っている施設に寄贈されている。事務局は、全国に公平に行き渡るよう地域を選び、送り先は地域の社会福祉協議会に選定を依頼している。施設の入居者だけが使用するのではなく、自宅と施設を結ぶ足として幅広く役立ててもらうため、デイサービス施設を中心に選んでもらう。今後も毎年二台ずつ寄贈を続けるという。

高齢者への関心の面では本業でも力を入れはじめた。昨年五月「SOKホームセキュリティSタイプ」という機器を発売した。高齢者が急病やけがなどで動けなくなったときなど、ボタンを押すだけで隊員がすぐ駆け付けるというもの。高齢者にも簡単に使えるシンプルさが特徴、とHS事業部の上野敬史部長は語る。

年間二〇〇〇万円にも上る同社の社会貢献活動、わずか一人一〇〇円の寄付という個人の力の結集がこれだけの大きな力となる。「しかし、一〇〇円といえども強制はできません。自発性を待つしかありません。『ありがとうの心』というしっかりとした企業理念があるからこそ多くの賛同者を得られたのだと思います」と岸悌二総務部次長は力を込めて語った。「ありがとう運動」基金の活動に、多くの社員を持つ大企業による社会貢献活動の無限の可能性を感じた。

 

 

 

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