日本財団 図書館


市民が遺贈した家をボランティアが運営する第一号

 

「川路さんち」は武蔵野市西久保の住宅街の木立に囲まれた一角にある。広さは約八○平方メートルで、武蔵野市福祉公社の介護サービスを利用していた故川路健造さんから市に遺贈された住宅を市が改修した。一九六三年に建てたという古い木造民家だが、一四〇〇万円をかけて内外装を一新、洋間二つ、和室一つ、台所、風呂、トイレのこじんまりした造り。庭もある落ち着いたたたずまいはお年寄りの感性にぴったりで、ハッピーリタイアメントになったカップルでなくとも居着きたくなるような住まいである。

運営するのは地元の「萩の会」(代表飯田香さん)。お年寄りと一緒に絵手紙を書いて食事をするグループを母体にしたボランティアグループだ。歩いて通えるお年寄りに来てもらって、専属スタッフやボランティアと、おしゃべり、歌、食事、絵手紙、軽体操、お茶、お花、手芸、折り紙などをする。開設日は月、火、木、金曜日。利用料は食事付きで五〇〇円。曜日別のチーフ四人、専属スタッフ一四人、登録ボランティア三六人の合わせて五四人の市民がこのハウスを支えていく。

十一月一日からお年寄りを受け入れた。初日は八九歳、八八歳、八七歳、七八歳と女性ばかり四人が「萩の会」代表の飯田さんら運営スタッフ、ボランティアと一緒に折り紙遊びや昼ご飯を楽しんだ。この日の献立は野菜いっぱいのすき焼き風鍋。「みんなで楽しく食卓を囲むせいか普段は食欲がない方もおいしそうに召し上がった」(飯田さん)。

 

047-1.gif

テンミリオンハウス第1号を運営する「萩の会」飯田香さん。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION