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ヨーロッパ4か国の90年代のボランティア活動実体

1994年・各国のアンケート調査から

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*(n)は各国の調査対象者数。また、この調査はそれぞれ独自に行われたものなので厳密な意味でのデータの直接比較はできない。(出典:Nylund、96年。新名正弥訳)

 

サッチャー政権は一九八○年代に「小さな政府」実現のため、民営化策の一環として福祉自由化を断行した。沈滞する国力を浮揚させるための一連の経済・社会改革はアメリカ型市場主義の影響を受けている。しかしこの"鉄の改革"は必ずしも満足な結果を残せなかった。市場主義が進んだ結果、貧富の差がふくらんだ。そして欧州で大変重要な意味を持つ「連帯」という社会概念が崩壊しかけていった。保守党はメージャー政権にバトンタッチして挽回を図ったが次第に支持を失っていく。

一方、急激な改革からの揺り戻しの受け皿となって躍進したのが左派労働党だ。全六五五議席中四一九議席の獲得という圧倒的な大勝利で政権党となったのが一九九七年のこと。しかしおもしろいことに、福祉自由化については、実は労働党も基本的にはサッチャー政権が行った路線を継承しているのである。イギリスの福祉自由化は、保守党の支持層の一部と政権党である労働党を支える中産階級に焦点を当てた結果の政策といえる。彼らが一番実質的な利益を得られるような制度転換を図っていったといえるだろう。

 

フィンランド

─経済危機と欧州統合

 

一方、北欧のフィンランドは、欧州の中では異例の速さで高齢化が進んでいる国である。高齢化率は一九九六年に一四・六%に達し、ほぼ四人に一人が高齢者となる二六%まで、あと四〇年足らずと推計されている。

 

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