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現在家族を介護している人が、限界を越えた介護による心身の疲労から解放され、心のゆとりを取り戻すことにより、人間らしい家族愛に満ちた家庭が復活する。

専業主婦に対する家族介護の期待が、家族間においても世間においても消えていくため、専業主婦は、のびのびと自分の人生を生きることができるようになり、それが、(少なくとも精神的に)自立した者同士の良好な家族関係を創り出すであろう。

つまり、人生の最終段階においても、それぞれが自分の思いを生かして生きるということにつき、社会の合意が形成されていくと予想される。家父長意識の強い一部の国会議員が最も恐れるのは、この点であろう。

 

心を支える市民活動の社会的認知

 

身体を支える介護保険制度の運用が確立されるにつれ、心を支え、交流する市民活動(NPO・ボランティア活動や、近隣型ふれあい活動)の意義が広く認められてくる。そして、家族間の心の交流を含め、心の豊かさを求める無償あるいは非営利の活動が、人の幸せにとって、経済活動や行政サービスよりも重要であると言う認識が、一般的になっていくであろう。

 

 

 

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