権利の確立がもたらす老後の不安からの解放
制度の運用がはじまると、市民は、自らや周りの人々の体験から、必要な介護を受ける権利を得たということを感覚で理解するようになるであろう。特に、介護保険料を支払うようになってからは、急速に権利意識が浸透すると思われる。
その意識は、自分の老後についての不安を、大きく解消するであろう。老後の不安の最大のものは、自分が倒れたとき、誰かがきちんと最後まで自分を看てくれるだろうか、ということだからである。
人生の最後の段階における安心が、必要最小限度ながら得られると、市民は、子供に頼らず、また行政の恩恵(措置)を当てにせず、尊厳を持って主体的に生きるようになる。生き方の選択の幅が広がり、今の充実のために蓄財を使いはじめるから、それは、企業活動の多様化と経済の活性化をもたらすであろう。
家族関係の正常化
老後を子供に依存するという期待感が消えるため、子育てが正常化し、子供の自立をうながすための家庭教育が行われるようになる。