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こうした差は自然環境や歴史によって必然的に生じたのだが、各自治体の政策などによって発生する社会的な地域格差もある。介護サービスにおいても在宅介護サービスに力を入れる地域、施設介護サービスを重視する地域、あるいは家族介護のサポートを強化する地域などさまざまな取り組みが行われてきている。ここでは在宅介護サービスの地域差を『在宅介護力指数』という指標によって見てみよう。

これは在宅介護を支える三本柱といわれるホームヘルプサービス、デイサービス、ショートステイについて、市区町村ごとに六五歳以上高齢者一〇〇人当たりの年間利用日数を偏差値化した指数だ。サービス利用日数など基データは最新の「老人保健福祉マップ」(財団法人長寿社会開発センター)九七年版を使用した。簡単に言えば、三つのサービスについて全国の年間平均利用日数を出し、都道府県と各市町村のそれが平均値からどの程度上回っているか、下回っているかがわかるようにしたものである。指数が大きいほど地域の介護力が高く、指数が低いほど地域介護力が低いと考えられる。

 

都道府県ベスト3は九州に

都道府県別のトップは宮崎県(五六・六六)、二位は鹿児島県(五六・〇〇)、三位は大分県(五五・三五)で、ベスト3は九州の三県となり、全体的に西高東低になっている(次頁図1)。また全国の自治体を<政令指定都市+特別区>、<市>、<町村>の三タイプに分けると、<政令指定都市+特別区>のほぼ全てが平均の在宅介護力指数五〇近くに集中しているのに対し、<町村>は三〇未満から七〇超までと幅広く分散しており、町村における地域差が大きいことがわかる(次頁図2)。つまり都市部ほど介護力の差が小さく、町村部は介護力のバラツキが大きいことがわかる。

 

 

 

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