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町内会が組織した福祉ネットワーク

 

東京有数の繁華街池袋から歩いて二〇分ほどの下町、池袋本町。駅ターミナル周辺の喧噪から離れ、道々の両側には、軒を接するように民家が並ぶ。路地の狭い植え込みや玄関先には丹精込めた季節の花が咲き、生活の息吹が立ち上る。

「この町には戦中、戦後すぐから住み続けているお年寄りが多いんです。その分、昔ながらの近所付き合いがまだ残っていましてね」。こう語るのは、人口一万五〇〇〇人余りのこの町で在宅医療に取り組む開業医の網野皓之さん、五二歳。彼が電気ポットを使った安否確認システムの生みの親だ。

網野さんにとって、きっかけとなる忘れられない出来事があった。九六年春に起きた親子餓死事件だ。

 

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利用者宅に設置している電気ポッ卜とパソコン電話。

 

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園山つねさん(94歳)は、毎朝、電気ポットのお湯でお茶を入れる。これで「元気ですよ」の合図が伝わる。

 

 

 

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