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掃除や買物は週二回来る同市職員ヘルパーに頼んでいるが、「一時間の勤務だったのが、最近四五分に縮まり、あわただしくて話もできない。それに比べてマリアンは一時間半も話し相手になってくれる。楽しくて、気分が明るくなる」

公務員ヘルパーの労働時間短縮の動きは他の地域でも耳にした。「病気になると来ないし、祭日は休む」という声も聞かれた。そんな状況もあって融通の利くボランティアが歓迎されてきたようだ。

年金受給年齢(六五歳)より早く退職して早期年金を受け取る人が増えていることもボランティア活動を促進させている。

収入があると年金が減るが、社会的活動が続けたいという高齢者は多い。これらボランティア活動は訪問先の家庭医と連携が取られている。異変があればすぐ連絡する。全国民が自宅近くの医者をコミューンに登録しているからだ。

昨年秋、デンマークの国会でボランティアに関しての画期的な法律が成立した。地方自治体が積極的にボランティアの活用に取り組むよう奨励し、国がボランティアの交通費や食費、通信費などの補助金を出すことになった。「孤独感など身体ケアだけでは解決できない問題にボランティアの活動は欠かせない。公的分野の補完として今後重要になる」(社会省)という判断である。

少子化による高齢化率の上昇は、福祉先進国でも同じだ。元気な人も巻き込んだ、高齢者間の助け合い運動としてボランティアが改めて注目されてきたようだ。

 

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ドラ・ラスムスンさん(左)の部屋を訪れたマリアン・ラウツスンさん(右)。

 

 

 

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