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ほとんど八〇歳前後の六〇人が暮らすこの特養、スーボーは、ボーゲンセ市と隣の人口一万一〇〇〇人のソノスウ市の共同管理だ。従って会員七五人のスーボーフレンドは、両市の住民が中心。うち二〇人は入居者の家族だが、「いずれも遠方で暮らしているため年会費約千円を払うだけ」(イヨンセンさん)という。活動内容は施設内で入居者の話し相手になるほかケーキ作りを手伝ったり教会に同行したりする。散歩にも誘う。「ずっと同じところにいると退屈するでしょう。外の新鮮な空気を吸うだけでも気分がいいはず」と二人は言う。

「同じような年の人が多いので、昔話の聞き手として喜ばれています」。入居者は自室で食事をしてもいいので、そんなときには介助しながら、同時代に味わった体験談に花を咲かせるという。高齢者の孤独を癒やすには、こうした同世代、同地域ならではの共通体験がかなり重要だ。

二人とも一〇数キロ先の自宅から毎月三、四回、車を運転して通ってくる。「学校の事務職を九年間していたが、四人の子育てに追われ専業主婦が長かった」(イヨンセンさん)。「五年間タマネギエ場で働いていたことがありますが、後はずっと家にいました。子供はみな独立して、教師やサラリーマンをしています」(ハーダーさん)。ボランティアをはじめたのは「入居者に楽しい日々を送ってもらうことが、私たちの生きがいになるから。私たちがうれしいと感じなければ続かない」と、口をそろえる。

 

窓拭き、調理、掃除、病院送迎は禁止

 

このスーボーフレンドは七年前に発足した。ソノスウ市の福祉課長だったイヨンセンさんの夫が、バザーやクリスマス会を手伝う地元の主婦たちと一緒に作った。たまたま利用者の遺言でマイクロバスを買うことになったのも設立の契機になったという。

 

 

 

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