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これ以上は必要ありません。自分自身でやれるんですよ」とハッキリと伝え、自立を促すための基準を与えてもらえるのだと考えたらどうでしょうか。そういう意味で要介護認定は、自立して生きていくために大切なものなのです。

 

保険料について、三〇〇〇円は高いとか地域格差が出てはいけないとか言われていますが…。

 

介護保険は地方自治体が住民とよく話し合って、わが町、わが村ではどういうサービスをどれだけ供給するかについて自由に決める仕組みです。だから市町村によって差が出てしまうのは、当たり前ではないでしょうか。

在宅サービスを充実しようとせず、安易にお年寄りを病院に入れてしまう市町村は、その費用を介護保険でみなくてはならないのですから保険料が高くなってしまいます。それは自業自得なんです。六五歳以上のお年寄りから、高い保険料を取ることは、いろいろ問題があります。ある一定の線を引いて、高くなる分は国が面倒を見るべきだとする意見もありますが、そんなことをしたらモラルハザードを招くでしょう。例えば三年なら三年、五年なら五年、保険財政の不足分を貸し付け、あとで差額は返してもらう。その間にがんばって在宅介護を充実し、保険料を下げる努力をするように促す制度でない限り、まじめに取り組む市町村がばかをみてしまいます。

 

一九九二年に書かれた本の中で、国税は減らして、地方市町村税は上げるべきだ。「高福祉、高負担」でいいんじゃないかと述べていますが、この意見は今でも変わっていませんか?

 

 

 

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