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九六年度から事業者に家屋改造費などを補助、利用者は一か月一二万三〇〇〇円で住める。二〇〇〇年四月までには各区に一か所のグループホームが用意される。

高秀秀信横浜市長が就任以来掲げてきたスローガンは「市民生活の安全、安心、安定」の確保。介護保険は「老後の安心」大黒柱となるだけに首長の責任は大きい。高秀市長は九九年度予算編成の重点施策の筆頭に「介護保険制度導入に向けた福祉基盤の確立」を明記した。

 

高齢化率の地域格差は二倍以上に

 

ただ介護保険制度の実施は「福祉における明治維新に匹敵する」(三浦文夫武蔵野女子大学特任教授)といわれるだけに課題は少なくない。

横浜市全体の高齢化率は現時点で一二・五%(平成一〇年三月末現在)だが最低の都築区の七・三%に対して最高の西区は一七・八%。同じ横浜市内でも二倍以上も開きがある。にもかかわらず「西区には特別養護老人ホームが一つしかない」と西区区民会議委員の一人(七二歳)は不安を隠さない。確かに横浜市は在宅サービスについては国や他の自治体の施策を先取りしているものの施設整備は遅れがち。九九年度を最終年度とする横浜市高齢者保健福祉計画の進捗状況を見てみよう。デイサービスは計画目標達成度一二五%など在宅サービスはまずまずだが、特別養護老人ホームと老人保健施設はそれぞれ九六%、五五%などと見劣りする。

 

巨大ベッドタウンのアキレス腱は ?

 

もう一つの気がかりは民活の行方。「官のレールに乗りにくい純粋な意味での民活は行政主導事業のおこぼれを拾うすき間事業になりはしまいか」と心配する声も聞いた。介護保険は地域福祉産業の起爆剤と期待されているだけに気になる指摘でもある。これは市長の強力なリーダーシップに裏打ちされた先取り行政と裏腹の関係にある。

 

 

 

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