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できるだけ身近なところに援助センターを

 

それからざっと三〇年。当時の若夫婦は五〇、六〇歳代となり、ふるさとから年取った親を呼び寄せて同居する、いわゆる「呼び寄せ老人」も増えた。九〇年に町田市高齢社会対策検討委員会が設置され九二年には「町田で安心して老いるためにここが問題」という中間報告をまとめ、「できるだけ身近なところに(要介護高齢者)援助のためのセンター施設が必要になる」と提案した。

この委員会に地域のボランティアグループとして参加したのが、地元で開業する西嶋医院の西嶋公子医師、その患者および家族、周辺住民が集まった助け合いの会『暖家(だんけ)の会』である。ドイツ語の「ダンケシェーン」(ありがとう)をもじった命名だ。

こんなボランティア・グループから青少年育成、自治会など出身が異なるさまざまなタイプの住民組織が「老後」という見えない糸によってつながり、「高齢化社会を共に生きるためのコミュニティ・センターの建設」のためのネットワークヘと発展するきっかけは九二年、『暖家の会』が開いた「高齢社会の生き方セミナー」。ここで意気投合した有志が同年七月にセンター建設を求める陳情の署名活動をはじめ、四四九八人の署名を得て町田市長に提出。町田市に「成瀬台高齢者サービスセンター建設の基本構想を考えるプロジェクト委員会」が発足した。

翌九三年には、住民たちが「センター建設促進住民の会」を設立、法人設立準備委員会や建設委員会など五つの専門委員会を組織して本格的に活動を開始した。建設委員会を中心に二〇回も会合を開き、大幅な図面の書き替えは五回に及んだ。最初の図面で道路に面した西側に置かれていたショートステイの部屋を朝日が当たる東側の静かな方に変えたこともある。九五年にはケアセンターの運営主体として社会福祉法人「創和会」を地域住民が設立。町田市から六〇〇坪の市有地を借りてショートステイとデイサービスの施設『ケアセンター成瀬』を開設した。

 

 

 

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