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痴呆についてある程度の知識があれば大丈夫とわかると、近くのなじみのクリーニング店に「ボランティア募集」のチラシを貼らせてもらい、話し相手や一緒にお茶飲み、大正琴を聞いてほめる、ぞうきんを縫う相手などを積極的に探すようになりました。

「根がオープンなたちだから、人手が欲しいと思ったらストレートに言っちゃう」。人に面倒をかけるのは気が引けないかと水を向けたら、「私も誰かに手間をかけられても気にしない。だから私も人に世話をかけても平気なの」。世話をかけるということはその人を信頼しているからできるのだ、というわけです。

彼女は自宅を「老人ホーム」だと思っているのかもしれません。「夫が理事長。私は園長兼寮母。一人では無理だから専門機関の支援も受けるし近隣『資源』も『発掘・活用』する」といった感覚なのです。母が老人病院に一時入院したとき、彼女は見舞いに来がてら、「ついでに」と同じ病室の痴呆の人たち相手に(母に抱かせていた人形で)即席の人形劇をしたりします。実の母への行為も「社会的な活動」だと見なせる人には、またこんな行動も自然にできるのですね。

 

近隣型助け合いとは…?

お互いの顔が見え、生活の内情がわかりあっている近隣の住民同士が、お互いの心を大切にしながら、日常生活の営みの中で、『自然流』に身の回りのお世話や家事、介護、食事づくりなど生活するために必要なことを互いに支え合い、助け合うことをいいます。

 

 

 

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