日本財団 図書館


文部省が「いざ!」と言えばすぐGOがかかるのでは…とか、いろいろ他愛のないことを考えています。誰もが当たり前に生きていける社会には「ボランティア!」という言葉も小さく消えて、本当にお互いさまのことが当たり前になればと夢を見ています。

 

新任の先生は福祉体験研修を受ける仕組みができました。新任でない先生方は地域の力で引っ張り込みましょう。

 

私のふれあい体験

菅野せい子さん 80歳 福島県

 

今から27年前、ボランティアという言葉も一般に知られないころ、奉仕作業といわれていた。当時公民館で"余暇利用"というテーマで学習(講座)した有志20人で社会に何らかの形で還元しようとはじまったボランティアの会(はたち会)の活動は続けられて、いろんな施設(障害者、授産、養護、特養などのほか、保育も)で活動交流してきた。山中の特別養護老人ホームに今は車ボランティアに助けられて往来している。人は人によって癒されるというが、人里離れた山頂の高齢者たちに待たれる身はうれしい。

ふり返って長い間に心に住みついた人々を思い出す。

最初の特養で出会った人々で難病のリウマチで寝たきりの中年の男女の方たちは、訪ねるたびに痛さをこらえている様子がわかる。ホームの主治医は地域の内科医で専門医ではないせいもあったろう。終いには2人とも衰弱も露わだったが、決して「ほほ笑み」は絶やさなかった。かすかな声で「ありがとう」と迎えてくれたあの表情は消えない。癒し癒されていることを思った。男性には家族がいなかったので墓参を続けて7年目の春彼岸、石段の途中で見知らぬ人に親切にされて、楽に平地に降りたことなど何とも因縁めいた想いにしばらく駆られていたことも…(私も老いたかと)。かつて養護施設に子守りした学生たちが、今はボラ仲間の頼もしい友人として私たちは手話の指導をしてもらっている。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION