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地域福祉の本質を問いかける宅老・グループホーム

 

地域密着・小規模・多機能の草の根ホームは「公的なサービスの谷間とすき間を埋め、大規模施設に対するアンチテーゼ」(宮城県長寿社会政策課千葉宇京課長)としてクローズアップされている。また介護保険が行き届かない部分をカバーする機能も期待されている。介護保険の実施に合わせて、昨年十二月にはグループホームの施設整備補助制度が創設され、新たに平成十一年度は二〇〇か所が整備される。また、宅老所、デイサービスに対する公的な支援も強化される。

一月二三日には、宮城、福島、栃木など七県の小規模ケアホームの連絡会などが中心となり、前号でもご紹介した「宅老所・グループホーム全国ネットワーク」が設立された。「スモール イズ ビューティフル」は二一世紀の介護を改革する合言葉になりつつある。

民間デイサービス「ヤモリクラブ」を切り盛りし、初日のパネリストとして参加した朝倉義子さんは次のように語る。

「介護保険は全国一律の福祉を日本中に授ける福祉全体主義を地域の特性に合った福祉に改める仕組みです。おかげで県や国の方ばかり向いてきた市町村が地域を見つめ直し、足元に宅老所など小さいけれども良い試みがあることに気づきはじめました」もし、地域で、そうした試みが不足しているとしたら、それは取り組みをしてこなかった住民自身の問題であろう。介護保険は本当の地域福祉とは何かについて住民自身にも鋭く問いかけるのである。

 

 

 

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