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日本は、ドイツ型を目指すにせよ、オランダ型を目指すにせよ、医療と介護の関係整理が、今後求められていくであろう。

オランダの高齢者医療は、医療と介護の融合だけではない、これらに住宅政策を加えた三本柱で支えられていることを見逃してはならない。

オランダには、高齢者入居生活ホーム法があり、高齢者アパート等が一四四七施設あり、一二万一一〇〇人(一九九四年)が入居している。月額二四〇〇ギルダー(一四万四〇〇〇円)三六〇〇ギルダー(二一万六〇〇〇円)の家賃であるが、全額負担できない場合は、政府が補助することとなっており、ホームの全コストの六〇%は政府が負担している。部屋は、三ルーム程度でかなり広く、日本での有料老人ホームの水準を上回るものとなっている。介護が必要となった場合は、ここに在宅介護サービスが提供される。

特別養護老人ホームにあたるナーシングホームは三三〇施設あり、五万四四二三人(一九九四年)が入居、AWBZが介護費用を負担するが、利用料は収入に応じて最高月額二二〇〇ギルダー、ただし、配偶者が自宅に居住している場合は二一〇ギルダー(一万二六〇〇円)である。

以上は、筆者が、一九九六年に続いて、昨年十一月にオランダを訪問し、調査したことの一部である。なお、私見であるが、オランダの住宅政策の手厚さに感嘆するとともに、日本でのポスト介護保険問題は住宅政策であることを痛感したことを付け加えておく。

 

(注)オランダの人口は、一九九五年約一五四二万人、六五歳以上人口は約二〇三万人で高齢化率は一三・二%。高齢者の約九〇%は自宅に、一〇%は高齢者ホーム等に居住。自宅居住者の九〇%は単身またはカップルのみとなっている。なお、ギルダーと円の換算は一ギルダー=六〇円強(一九九九年二月現在)とした。

 

 

 

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