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「現在、先進企業から事例を集めて、当社独自の活動を模索しているところですが、キーポイントはNPO(非営利団体)や他企業とのパートナーシップです。NPOの先駆性や情熱と、一方、企業が有する企画力、ノウハウを合体させる。そうすれば倍以上の効果を生むことができますし、他企業と手を携えることでより大きな活動が可能となります。待っているだけでは何も生まれません。こちらから働きかけていかないと」。熱くこう語る小田さんは、持ち前のフットワークを生かしてこれまで着々と連携の礎を築いてきた。

小田さんが社会貢献活動にかかわるようになったのは、仕事で港区社会福祉協議会主催の「企業のためのボランティア活動懇談会」に参加したことがきっかけ。ここで知り合ったメンバーと会合を重ねるうちに、個々の企業ではできなくても企業同士手を組むことができる活動があるのではないかとの発想が生まれ、港区に立地する企業を対象とする「みなとネット」の設立に発展したという。

現在、一五社が参加する同ネットは、平成八年四月の発足以来、国際交流のつどいや車イス初詣など七回のイベントを実施し、地域社会で企業が協力して社会貢献活動を推進していくための方策を練ってきた。「全社的な社会貢献活動を考えていく上でこのネットワークが大いに役立つと思っています」と小田さん。

組織として社会貢献へ取り組む強みは、こうしたスケールの大きい活動が可能になること。しかし一方でむずかしいのは人事だろう。企業では初めから問題意識を持ち、自ら手を上げて社会貢献活動に取り組む社員はまだ少ない。現在小田さんの片腕として活躍する植田さんも昨年五月まで柏営業所で経理を担当しており、全く畑違いのNK推進チームに配属されて「途方に暮れた(笑)」そうだ。そんな植田さんも、今では、特別養護老人ホームヘのコーヒーサービスを提案するなど積極的に活動し、着々と同社の足場を固めている。社員の活動意欲をいかに引き出すか、企業としての社会貢献活動の鍵のひとつだろう。

企業市民としての責任を果たすため、社会貢献活動と経営の一体化をうたい全社を挙げての活動を模索するキーコーヒー株式会社。今後、このネットワークを生かしてどんな活動が展開されていくか、市民団体とどんな連携が取られるのか、可能性は無限である。

 

 

 

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