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加藤 戦後、官と民といえば、官が公的な部分をすべて担って、営利を目的とする企業が「民」を代表する顔としてすみ分けがされてきました。でも「民」の中に新たに非営利の活動が台頭してきたことで、社会の枠組みは大きく変わりつつあります。欧米では、NPOの活動範囲はものすごく広くて、大規模な公共の分野を非営利の団体がどんどん担っています。江戸時代を振り返れば、日本でもそうした伝統は十分にあったわけですし、いつの間にか忘れていた知恵を、もう一度身に付けていくことが求められていると思います。

堀田 今の社会構造にふさわしい役割分担を、官民それぞれが既成の意識を打ち破ってつくっていく。それが時代の要求なんですね。

加藤 NPOで世の中すべてが変わるとは思いませんが、公とか公益とか、世の中に大事な物を、NPOを通じて、国民一人一人が考えること自体が、結局は一番大事なのではないでしょうか。「自分たち」というのがある程度共有できる範囲、行政単位とは別のコミュニティーの中で、みんなで共同作業として考えていく。これは国が行うことではなくて、私たちが自分の手で行うべきことです。

堀田 いろいろと力強いお話をありがとうございました。市民の側から社会を動かしていくというのは、これからの時代、大変大切なことですね。ぜひますますのご健闘を祈っております。

 

 

 

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