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このため、空中線に流れる電流I(実効値)を考え、Iが空中線各部に同じ大きさで流れた場合の放射電力が、正規の空中線の放射電力と等しくなったと仮定して取り扱い、このときの長さあるいは高さを実効長あるいは実効高という。

図6・6に示す半波長ダイポール空中線の実効長leは、

le=λ/π[m]

となる。

(5) 指向性

送信空中線が電波を放射する場合、立体的にみて、その方向により強弱がある。放射電界の方向に関する特性を指向性という。これは受信空中線では、電波を受信した場合の電波の到来方向による誘起電圧となる。水平方向の指向性を水平指向特性、垂直方向の指向性を垂直指向特性という。

指向性としては絶対値だけを問題にすることが多いので、最大方向を“1”として表示するのが普通である。図6・7は垂直半波ダイポール空中線の指向性の例を示す。GMDSS用空中線には、インマルサット-Aに使用されているパラボラ空中線のような鋭い指向性を持ったものや、インマルサット-Cのように無指向性の空中線を使用したもの等さまざまなものがある。

なお、空中線の指向性の鋭さをわかりやすく表現する方法として“ビーム幅”という言葉が用いられるが、これは、空中線の指向性を垂直面及び水平面において最大放射方向を中心として、電力密度が半減した点の角度を示している。(図6・8参照)送信の相手方向が決まっている場合には、目的方向に鋭い指向性を持つ空中線を利用した方が、電波のエネルギーを集中できるので効果的である。これを受信空中線に利用すれば、弱い電波でも再生できることになる。このことを利得という。

 

 

 

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