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したがって、次段の入力抵抗RiがRLに並列に加わったことになり、また、エミッタも直接接地されたことになるので、図3・5の回路と等価になる。結局iCの流れる回路の抵抗分は直流の場合よりも小さくなり、iCとVOの関係は

 

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図3・5 図3・2の交流等価回路

 

となる。これが交流負荷直線のこう配を表す式で、図3・4の直線C´D´のこう配になる。実際の交流負荷直線は直流負荷直線上の動作点Pを通り、直線C´D´に平行な直線CDである。動作点Pの位置は、IBの値を調節することにより、直流負荷直線上の任意の位置に設定することができるが、これを交流負荷直線が2等分されるように選ぶと、最も振幅の大きい出力が得られる。同図には図3・2の回路定数の値をもとに、実際の数値が記入されている。

一方、図3・6はトランス結合増幅回路と呼ばれるもので、トランスで次段と結合している回路である。PNP形トランジスタを用いているので、電源の極性は図3・2の場合の逆になっている。この場合は、負荷がインダクタンスであるため、直流に対する抵抗分は小さいが、交流に対してはきわめて大きくなる。したがって、図3・7のように交流負荷直線のこう配がゆるやかになるので、動作点PのVCEは電源電圧に近い値となる。なお、トランスのコイルの両端には大きな逆起電力を生じ、VCEの最大値は電源電圧のほぼ2倍にも達するので、トランジスタの最大定格を超えないように注意する必要がある。

 

 

 

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