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エミッタ接地は増幅率が大きく一般によく使用されているので、ここではエミッタ接地増幅回路について述べる。

図3・2に低周波用のエミッタ接地トランジスタ増幅回路の一例を示す。図の回路は図2・19(b)の負荷として抵抗RLを使用し、結合コンデンサCCを通して次段と結合しているので、CR結合増幅回路と呼ばれている。トランジスタはNPN形のものなので、コレクタ側が(+)になるように電源が接続されている。

 

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図3・2 エミッタ接地増幅回路

 

(1) バイアス回路

図3・2の回路において、入力信号がまだ加えられていない場合を考える。バイアス抵抗R1、R2を適当に選び、VBEが図2・23(III)のカットオフ電圧より高くなるとべ一ス電流IBが流れはじめ、同時にコレクタ電流ICが流れはじめる。このときエミッタ電圧VEはICのため、RE×IC(IBはICに比べてきわめて小さいので省略できる。)にまで上がるが、VBEがカットオフ電圧以上であれば、IBとICは流れ続け、回路は動作状態となる。このIBをべ一ス・バイアス電流と呼び、同回路のREも含めたバイアス回路を電流帰還形と呼ぶ。このほかにも固定バイアス回路、自己バイアス回路がある。

べ一ス・バイアス電流の必要性は次のように説明される。(以下、直流に重畳される交流電圧・電流は小文字で表す。)図3・3において(a)のべ一ス・バイアス電流IBのない場合,図のa]のような入力信号電圧Viが加えられたとすると,べ一ス電流iBはViがVBEのカットオフ電圧より大きくなったときだけ流れ,コレクタ電流iCもiBが流れてはじめて流れるので,それぞれ同図(a)のb],c]のようになる。

 

 

 

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