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このような明るいレーダーの映像は白黒テレビ用のCRTでも表示できるが、これはカラーテレビのCRTを用いることによってカラー表示にすると、物標からの反射エコーの強度によってその色を変え、分かりやすい表示を行うことができるという特長がある。

在来のレーダーのPPI表示は、掃引線が自船の位置を中心にしてCRTの外周に向かって動いている。すなわち、レーダーパルスの送信とともに電子ビームはCRT面上の自船位置から外周に向かって等速度で移動をする。このとき受信機に反射信号が入ると、そのときにCRT面の輝度が大きくなるように電子ビームの電子量が制御をされ、また、この掃引線の掃引の方向はしーダーのPPIの画面が1回分、自船を中心にして物標のあるところが明るくなるような形で表示される。例えば、空中線の回転が毎分20回(1回転3秒)でパルスの繰り返し数が毎秒1,000回であれば、PPIの映像面は3,000本の放射状の掃引線で作られ、また、画面の距離レンジはその掃引の速度によって決まることになる。

これに対して、デジタルレーダーの表示はTVの映像と同じように、横方向の掃引線を上下に動かす形で毎秒50枚の割で一つの画面を作るのが普通なので、そのためには掃引線の方向の変換が必要となる。

デジタルレーダーは、一般的に図4・51のブロック図のように構成されているが、空中線、送信機、受信機、ビデオ増幅器までの部分は在来のレーダーと同じである。ビデオは増幅器の出力はAD変換器に入れられる。ADとはアナログ・デジタルの略で、アナログ信号をデジタル信号化する回路である。例えば、ある設定されたレベル以上の受信信号であれば1、それ以下の受信信号であれば0というようにするのがデジタル信号化であって、この場合は1ビットでのデジタル化になる。このデジタル化をするときに受信信号の強度を4段階に分け、強い方から11、10、01、00とするのが2ビットのディジタル化で、さらに3ビットにすれば、111、110、101、100、011、010、001、000と8段階の強度の表現ができる。

 

 

 

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