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シャドウマスクの穴に対応して、赤・緑・青の三色のドットが一つの組となるように塗布された蛍光面の上を、赤・緑・青の各電子ビームのバランスを取りながら蛍光面全体を発光させると、各発光色が混じり合って白色に光って見える。これに対し、赤・緑・青の三本の電子銃から放射する電子ビームの量を変化させると、捜査線上の各点の蛍光のバランスが変化して希望の色を発光させることができる。

カラーCRTの組み立て上のわずかな誤差や、地磁気のなどの外部磁界の影響によって電子ビームの軌道がずれると、ビームが蛍光体に正しく当たらなくなり、色むらや色ずれが発生する。この三色の画像の色ずれがないように重ね合わせることをコンパージェンスといっている。各電子銃は画面の中央で集束するようになっているが、この中央でのバラツキの補正は、CRTのネックの外側から磁石によって静集束補正を行う。一方、画面の周辺では、偏向することによって集束がずれてくるが、これはネックの外側にコイルを置いて偏向に同期した補正電流を流し、動集束を行う。

これに対してインライン方式では、偏向ヨークの改良によって動集束調整を大幅に減少させ、あるいはなくしてしまうことも可能となってきた。このほかには、三本の電子銃のビームが、それぞれの蛍光体に当たらないで他の色の蛍光体に当たって発光させることがあり、これをミスランデングといっているが、この補正もネックの外側に磁石を置いて補正をしている。この磁石のことをピュリテイ磁石(色純化磁石)と呼んでいる。

偏向コイルによって電子ビームを偏向させると、蛍光面の周辺に行くほど偏向の揺れが大きくなって、四隅で最大となり、ラスターに糸巻き形のひずみが発生する。このひずみは偏向回路に縦と横のひずみ補正回路を付加して補正している。赤・緑・青の発光バランスを調整して忠実な色画像や白黒画像を出すためには、白バランス調整回路を設けて三本の電子ビームの量を調整し、画面の明るいときでも暗いときでも、赤・緑・青の発光のバランスが取れるようにしている。このほかには、トリニトロン形といって一本の電子銃で三本の電子ビームを作り、シャドウマスクの位置には縦方向に切れ目のないスリット状のアパーチャグリルを置き、これに対する蛍光面も、赤・緑・青の螢光塗料を縦スリット状に塗り分け、このスリット穴に電子ビームを通してそれぞれの蛍光体を発光させるようにしたものがある。

 

 

 

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