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電子の速度を変える場合には、一般に第2グリッドの正電位を変えることによって制御し、電圧が高くなるほど電子の走行速度は早くなって、輝度は明るくなる。したがって、第2グリッドに探知時間だけ正にゲート電圧を印加して速度を速め、さらに第1グリッドに受信信号が加わるようにしておくと、信号がきたときには第1グリッドとカソード間の電位差が小さくなり、蛍光面に適当な明るさの輝度が現れる。

 

3・6・3 カラーブラウン管

 

カラーブラウン管(カラーCRT)は、原色信号(赤・緑・青)によって制御された電子ビームを発射する三本の電子銃と、色選別を行うためのシャドウマスクと、赤・緑・青に発光する蛍光体を規則正しく塗り分けてある蛍光面とで構成されている。代表的な例を図3・17に示す。電子銃は図3・18、図3・19に示すように、三本の電子銃がデルタ形に配置されたものが多く使われている。シャドウマスクは、電子銃の配置と対応して、図3・17に示すような長方形か、あるいは3・18に示すような丸形の微細な小穴の設けられた薄い金属板で、蛍光面から約10mm離し、蛍光面と平行に取り付けられている。この穴はTV用では0.6mmのピッチで、コンピュータ用などの高精細度の分解能のものでは約0.3mmのピッチであけられ、穴径は、約0.2〜0.3mmとなっている。

正しい色を再現するためには、電子ビームを正確に蛍光体に当てる必要がある。このため、蛍光体のドットの直径とビームの直径とに差をもたせ、組み立て誤差や地磁気等の外部からの影響を除去する工夫がなされている。

蛍光面への蛍光体の塗り方は、シャドウマスクに対応して、ドット構成とストライプ構成とがある。TV用でドット構成(デルタ型)の場合は、各色は図3・18のように配列されて一つの組みとなっていて、各ドットは直径が0.3〜0.4mmで、ピッチは0.6〜0.7mmの間隔で塗られている。ストライプ構成の場合の蛍光体は、図3・19のように横方向におよそ0.2mm間隔の隔で塗られている。最近のものは各蛍光体を黒色物質で囲んで外光による反射を減少させ、コントラストの向上を図っている。

三本の電子銃からの赤・緑・青の各原色信号に制御された電子ビームの流れは、3・6・1項で述べた一本の電子銃の動作と同じである。電子銃から放射された電子ビームは各電極(電子レンズ)を通過し、赤・緑・青の各電子ビームをシャドウマスクの穴の一点に集束させて交差させ、蛍光面に当てて発光させる。シャドウマスクは、赤の電子ビームは赤の蛍光体のみに当たるように、また緑・青の電子ビームもそれぞれ緑・青の蛍光体のみに当てて発光させるように色選別を行っている。

 

 

 

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