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図5・44のB点のスイッチをとじて負荷を接続すると、B点の電圧は図5・45(c)のようになり、同じ平滑コンデンサーと負荷なら半波整流に比べて電圧変動は小さくなる。この電圧変動は、精密な電子機器に対しては雑音の原因になるので次節に述べる定電圧の回路を設ける。

また、図5・46のような回路を用いると倍電圧およびN倍電圧の整流回路を作ることもできる。

 

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図5・45 両波整流回路における各部の波形

 

5・5・2 定電圧回路

図5・47に定電圧回路の一例を示す。同回路はAutomatic Voltage Regulator の頭文字をとってAVRと呼ばれる。A点の電圧V0がツェナーダイオードD1の降伏電圧よりも高くなったとすると、D1にR3を通して電流が流れ始める。V0からR3による電圧降下分を引いた値がD1の降伏電圧よりも高ければD1には電流が流れつづけ、TR1のエミッタ電圧はD1の降伏電圧に維持されることになる。一方、TR1のベース電圧VBはR2×V0/(R1+R2)で表され、V0の値によって変動する。V0が高くなるとVB も高くなりTR1のVBEが増す。そのためTR1のコレクター電流が増加し、R4による電圧降下も増大しTR2のVBEが下がる。その結果TR2のコレクタ・エミッタ間の抵抗が増すので、TR2での電圧降下が大きくなりV0が減少する。結局、TR1でD1の降伏電圧を基準としてVBの電圧変動を検出し、TR2の内部抵抗を変動させてV0を常に一定に保とうとしていることになる。TR2には最大コレクタ電流の大きなものを使う必要がある。

 

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図5・46 倍電圧整流回路の例

 

 

 

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