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十一、回想記

熊本県里親会 岩山ハナエ

 

「もしもしママ、台風が九州に近づいているようだけど、熊本の方どうね。」

「あら、誉士ねテレビが今度の台風は長崎のずうっと西の方を通ると言っているので大丈夫だと思う。まだ会社ね?」

「うん、今ね、うちの製品を国際規格に合格する商品を作るために社員の教育の真っ最中なんだよ。遅くまで大変だよ。パパも元気?、又電話するね。」

「ありがとう、Aちゃん、Rちゃんとも元気?、病気させないように、ウエンにもよろしく。」

台風シーズン、九州に近づく気配があるときは必ず気遣って、ベトナムから頻繁に電話をくれる息子、暖かい会話の余韻がしばらく私の中に漂っている。

私が彼と初めて出会ったのは、たしか18年前のことだった。

10年間経営していた喫茶店を閉じ、夫の定年迄まだ2〜3年あり、自分の今後の生き方を捜すために、何か学ぼうとYMCAに通うことにしました。

 

 

 

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