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ただ知也自身に生きる為の生命力があれば、何%かでも可能性があるのであれば生きて欲しい、これが家族みんなの願いでした。

一日、二日と知也は息はしているけれど、身動き一つしない。これで生きていると言えるのだろうか。一週間ぐらいして病室を移された。まだ油断は出来ない。毎日、お父さんとお母さんは仕事が終わってから、知也の所に一日たりとも欠かさず来る。毎日、知也に話しかけ、さすったり、こすったり、熱いお湯で足をマッサージしてあげたり、みんなで一生懸命、知也の看病をした。その努力が実ったのか、知也の生命が強かったのか、知也は、日に日に快復していくのです。始めは、お母さんの言葉に反応して、「知也、くそばばぁって言ってみろ。」とふざけてからかったら、「ぷ」と少しだけ笑ったのです。思わず「こっちの言っている事わかってきているんだね。」と、またからかってみたけど反応なしでしたが、少しずつ収穫があればいいよねと地道に少しづつがんばっていこうと思いました。

 

 

 

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