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このことはだいじなことだと思います。生後間もなくからずっと乳児院で生活することは、最初から子どもにハンディキャップを与えるようなもので、里親さんに苦労させるだけだと思うのです。生後半年をめやすに方向付けをだしたいというのがいまの私の考えです。棄児や最初から親に養育の意志がなく預かった子はもっと早く委託してもいいのではないかと思っています。ただ、その後発達障害がでてくる可能性はありますが、それらを覚悟のうえで引き受けてくださる里親さんへの委託が必要になります。

困るのが、養子縁組できる子どもなのに、里親子関係のままでいくこと。子どもにとっては、唯一の親と受け止めているのに、里親は子どもが大きくなってから子どもが希望したら縁組するという。そこに最後まで責任を負おうとしない里親の逃げを感じてしまうことがあり、親の覚悟ができていないので、そのために親子関係がいまひとつしっくりしないのではないかと思われる家庭もありました。

不幸にして委託不調となったケースや、委託は継続しているがみていて心配な家庭について、その理由や状況は様々です。子どものあるべき姿や親としてあるべき姿を思い描き、理想と現実のギャップの大きさに悩み、そのギャップを埋めるために何とかしつけようとしたり、無理をしたりして里親も里子も疲れはてているような場合もあります。

 

 

 

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