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6]山車の巡行。街の中を聳える緑の山が曳き回される

 

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7]祭りの間、夜になると山車の前で献火をし祈りを捧げる人が跡を絶たない

 

山車作りはまずバイラブ神を表す四つの車輪の上に台座を作り、その上に木枠を組み上げる。バイラブは、マッチェンドラがカトマンドゥ盆地に入るときに先導した神と言われる。木枠の間には、ナーガ(龍神)を象徴する十六本の細長い木がはうように立てられ、インド国境に近いタライ平原から運んでこられた籘で、全体を一本の巨大な柱状に巻き上げてゆく。取り付けられたくびき、曳き綱もそれぞれ違った性格のナーガ(龍神)を表している。

仕事の分担は、すべてネワール族の職人カーストの中で割り振られている。

作り始めて十日目、市内にあるオフィスの中庭から常緑の木の枝を集め、注連縄のように結びあわせたものを全体に巻き付け仕上げる。いのち溢れる緑の山車の完成である。

マッチェンドラ神を乗せた高さ二〇メートル近い巨大な山車が枝葉に飾られ、数千もの群衆の間を巡行される様は、さながら胎動する山そのもの、エネルギーに満ちあふれている。天空に向かって聳え立つ山は雨を呼び、豊穣をもたらす、天と地をひとすじに結びつける<柱>のイメージに深く重なってくる。

<ヴィジュアル フォークロア>

 

注1]…カーラ=1カーラは手に持った布が乾ききるまでの距離を表す

写真1]2]3]は筆者撮影、他はラクシュマン・シュレスタ(Laxman Shrestha)撮影

 

 

 

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