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3. 各人の研修目的の達成度

図1は、各人(9名)の研修目的の達成度を4段階で自己評価し、「十分達成」を100%、「達成」を75%、「まあまあ」を50%、「不十分」を25%で表したものである。全体としては「目的を達成」の75%が平均となるが、100%「十分達成」と評価しているのは、緩和ケアの経験があり、また研修への動機づけも非常に高い者であった。一方、60%台で低めに評価しているのは、研修への取り組みがやや消極的な者であった。

 

4. 緩和ケアの課題についての修得度

図2は、緩和ケアの課題について、どこまで修得できたかを4段階で自己評価したものである。「緩和ケアの考え方とケアの対象」「症状マネジメント」については修得度を高く評価する者が多く、特に、チームケアについては、その実際に触れることにより、理解が確実なものとなり、研修成果としてあげる者が多くあった。

 

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図1 研修目的の達成度(自己評価)

 

また、「患者の心理の理解とその援助」「家族のケア」については、理解できたと評価する者が半数あまりいるが、特に、研修期間が短い場合には、不明な点がある、不十分と評価している。

「緩和ケアにおける倫理的課題」については、全体として研修期間中の修得は難しいと評価する傾向がみられた。

 

おわりに

以上、ナースのためのホスピス研修の内容とその評価について報告した。

ケアの実践の場を通しての教育プログラムの提供は、一定の成果を得ることができた。特にチームケアの理解については、その実際に触れることができ、本プログラムの意義が認められる。期間については、長期間研修に派遣できる施設は限られており、また、研修成果は期間だけでなく、特に研修生個々の経験や研修への取り組みに左右される面が大きいように思われる。基本プログラムの中でいかに個別性を尊重できるかが課題であり、研修担当者制の充実など、プログラムの展開についてさらに工夫していく予定である。

今後、患者・家族、そして研修を受け入れるスタッフの側からの評価、また研修生が自施設に戻った後の研修成果についての評価なども検討が必要と考える。

第23回日本死の臨床研究会年次大会、札幌市、1999.9

 

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図2 緩和ケアの課題に関する修得度

 

 

 

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