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研究と報告

 

ナースのためのホスピス研修

―その意義と課題

松島たつ子*1 二見 典子*2 西立野研二*3 日野原重明*4

 

はじめに

近年、ホスピス緩和ケア病棟が急速な勢いで増加し、わが国のホスピス運動は、その必要を訴え、専門病棟を開設するという量的増加を目標とするだけでなく、ケアの質を問い、そこで働く者の教育の充実も重要な目標となっている。当教育研究所では、1993年のホスピス開設以来、ターミナルケア人材育成講座、医学生のための緩和医療講座など、さまざまな教育プログラムを提供してきたが、今回、ナースのためのホスピス研修を実施し、その成果と今後の課題について検討したので報告する。

 

対象と方法

研修の評価は、1998年6月より1999年3月までの期間に当ホスピスで研修を受けた9名について、研修生より提出された研修報告書をもとに行った。研修生のプロフィールは、表1に示す通りである。年齢は25歳から49歳、平均32.9歳で、看護婦としての経験年数は3年から20年、平均9.6年であった。緩和ケア病棟での勤務経験のある者は2名であった。

また、研修期間は、最短2週間、最長6ヵ月となっているが、1998年10月からは4週間を基本とするプログラムを作成し、現場スタッフの中から研修担当者を決めるなど、研修受け入れ体制を整備している。

 

研修プログラム

研修の目的とプログラムについて説明する。

研修の目的としては、以下の3点をあげている。

 

表1 研修生のプロフィール

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1. ホスピス緩和ケアの基本理念を理解し、チームアプローチの実際を学ぶ。

2. 実践を通して、ホスピス緩和ケアに必要な知識、技術、態度を習得する。

3. 自施設におけるケアの実践のために具体的対策をたてられる。

研修プログラムは表2に示す通りで、4週間を基本とする。第1週目は、場の理解として、ホスピスの一日の流れを理解し、ケアの概要を把握する。第2週目はナースと一緒に行動しながらチームによるケアを理解するとともに、ボランティア体験実習も取り入れている。前半2週間を終了したところで、研修担当者、看護部長、教育研究所部長が入って「中間ふりかえり」を行い、後半の研修の進め方を検討する。第3週以降は、担当ナースの指導を受けながら患者を受け持ち、症状マネジメントの実際や、入院から退院後の在宅ケア、死別後のケアまで、また、夜勤の体験など、ケアの継続について学ぶことになっている。そして、最終日に「まとめ」の時間をとり、研修の評価、今後の課題について話し合うことになっている。

 

*1 ピースハウスホスピス教育研究所部長

*2 ピースハウスホスピス看護部長

*3 ピースハウスホスピス院長

*4 ライフ・プランニング・センター理事長

 

 

 

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