研究と報告
ホスピスボランティア退会者へのアンケート調査
北川 輝子*1 西立野研二*2 日野原重明*3
目的
ピースハウスホスピスは日本における初の独立型ホスピスである。病室は22床、付属施設としてホスピス教育研究所を持っている。1993年9月に開院し、6年を経過した。
この間、122名のボランティアが登録し、学生を含む54名が退会した。理由はさまざまであるが、退会したボランティアから、特に揺籃期といえる開院初期、共に苦労してボランティア活動を開始した頃を振り返ってもらい、理想とした活動の目的が達成できたか否か、現在のボランティア活動の状況、また後輩ボランティアに寄せるアドバイスなどを聞き、今後のホスピスにおけるボランティア活動に生かしていきたいと考え、アンケート調査を行ったので以下に報告する。
方法
1993年10月1日より1998年9月末日までの5年間ホスピスボランティアとして登録し、1998年12月31日までに退会した54名中、学生を除く41名を対象に、郵送によるアンケート調査を行った。
設問内容は別紙の通りである(資料)。米国マサチューセッツ総合病院のボランティア離職表を参考にした。
ピースハウスにおけるボランティア活動
調査結果を報告する前に、当ホスピスにおけるボランティア活動について説明する。
1999年9月現在、約70名のボランティアが活動しているが、1993年の開院当時は30名で組織された。10名がすでにライフ・プランニング・センターで活躍している方であり、地元から応募してくれた20名が加わっての混合編成で始まった。
ピースハウスの活動方法はそれぞれの希望に応じて、曜日を設定して、日中か夜間かの希望を聞きながら調整する。曜日によるバラツキはあったが偶発的なことと考える。日中の活動参加者は27名、夜間は3名であった。また、登録ボランティアは、1) ホスピス教育研究所で主催するホスピスボランティア講座の修了者であること、2) 毎週1回少なくとも1年間を通して活動できること、3) ホスピスで決められた倫理基準を守ることを条件としている。
結果
41名中30名より回答が得られた、回収率は73.2%であった。
ボランティアとしての在籍期間は、最短3ヵ月(2名)、最長5年(1名)で、平均3年であった。
活動内容は(図1)、特殊な領域だけの活動(例:運転、美容、編集作業など)をする者と、広く全般にわたって活動する者があるが、今回の対象者は全体に関わっている方が多い。全体に関わりよかったと22名が答えている。
退会理由は(図2)、自身の健康に支障がきたこと、高齢化が11名、地域への活動移転、就職が11名、家族の介護4名、ボランティア活動への疑問、人間関係が1名あった。
活動を通しての喜びは(図3)、全員がホスピスでの触れ合いをあげていた。
*1 ピースハウスホスピスボランティアコーディネーター
*2 ピースハウスホスピス院長
*3 ライフ・プランニング・センター理事長