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次に訪れたKALUNGANは"避難所"の意味であり、その名の通りストリートチルドレンの保護・教育施設となっている。1988年に創られ、24時間の対応可能と標榜している。基本方針は、まずストリートチルドレンを訪れ、KALUNGANの存在を教える。その上で希望する小児を入所させ、共同生活の中で生活習慣・しつけ・聖書教育・コンピューター・ダンスなどを学んでゆく。特に学校には行かせず、施設内にて教育を受けさせる。子供たちの滞在期間は3〜6ヶ月程度。ここである程度生活のリズムや一般常識を学んだ子供は、再び本人の希望に従い、より高学年用の施設に移っていく。

ここの子供たちは私たちに対し頻繁に接触してきた。説明によれば、生来愛情を受ける機会が少なかったために、そういう行動に出るのだとのこと。子供たちは今まで受け取れなかった分の愛情を一生懸命求めているかのようだった。写真を撮ったりして楽しく遊んだ後、去りがたい気持ちで"避難所"をあとにした。無邪気な子供達の未来を信じたい。

 

最後に訪れたKPACIOは日本のNGOであるKPAC(Konkokyo Peace Activity Center)の現地事務所である。KPACは現在フィリピン内でマラボン市・セブ市など3ヶ所で活動を展開しており、そのKPACの事業の際に日本からの寄付が無駄に使われることのないよう、KPACIOが現地での活動を管理している。そのほか、日本からの見学・ボランティア希望者の受け入れや小規模な医療サービス支援なども行っている。

日本のNGOが国際舞台において成功しつつある活動をしているのは大変喜ばしいことであり、今後とも質・量ともにNGOの活動が充実することが望まれる。

 

医療分野に限らず何らかの協力活動を考えたとき、WHOやJICAといった巨大なGOには目の届かない部分が存在するのは確かで、それを補えるのは地域に密着した草の根的なNGOであると思われる。両者が縄張りを決めるのではなく、お互い足りない部分を補い合えるような協力関係を築き、それを維持する姿勢が求められる。

私達が将来的にNGOに参加することは少ないかも知れない。しかし、諸外国に目を向け、他国で活躍する日本人は確実に増加しつつある。GOとNGOの関係ではないが、下手な縄張り意識を持たず、幅広い分野でそういった同胞と協力し合えると、1+1が3になるようなそんな協力活動ができるのかもしれない。

(文責:福地貴彦)

 

Bグループ:2ヶ所のSmoky Mountainの視察

午前:トンド地区のSmoky Mountainの視察。

この地区のごみ集積所はすでに閉鎖され、敷地内に住み雑品を回収して生活していた人達は、無料の仮設住宅に移され生活していた。仮設住宅には約1500世帯、1万人以上の人が住んでいて、敷地内が一つの経済圏となっていた。集積所に隣接する敷地に新しいアパートが建設中で、このアパートの建設は政府に予算がないため、民間に委託されていた。家賃は有料であるため、ごみの集積所が変わり雑品回収による収入が減って、権利があっても家賃が払えない人たちの入居が問題となっていた。

 

 

 

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