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淡路花博の開催を機に人の交流によるまちづくり

 

新阜 京一(兵庫県東浦町長)

 

東浦町は兵庫県の南部、淡路島の北東部に位置しており、日本標準時子午線が通る日本最南端のまちです。四季を通じて温暖な気候に恵まれ、目前には大阪湾が広がり、海岸では白砂を洗うがごとく潮が流れ、昔ながらの風景を残しています。また、古くから花の栽培が盛んで、丘陵部にはかつて全国一を誇ったカーネーションの温室団地が並んでいます。

早くから都市との交流をめざし、都市に住む方々に農漁村の良さを体験していただくための施策を展開してきました。地勢の特色を生かし、海岸線には海水浴場やキャンプ場、平地から丘陵部にかけては施設園芸、山地には農地造成による土地利用を進め、さらに、花づくりの体験施設や宿泊施設、運動公園などを整備してきました。

平成7年1月17日に発生した阪神・淡路大震災によって当町は大きな被害を蒙りましたが、災害に強いまちづくりに日夜努力を重ね、震災復興もおおむね完了しました。多くの方々から暖かいご援助をいただいたことを感謝しています。

地震の発生する5日前には日仏友好のモニュメント「アルク21」の起工式が行われました。しかし、用地取得と造成が完了しながら、震災のため資金のめどがたたず、本体工事に着工できない状態です。フランス革命100年を記念してアメリカに自由の女神が贈られたように、革命200年を記念するモニュメントは、21世紀がコミュニケーションの時代であることを象徴するものです。

平成10年4月、待望久しかった明石海峡大橋が開通しました。さらに、3月18日からは淡路花博「ジャパンフローラ2000」が東浦町と淡路町を主会場として開催されています。国際会議場やホテルなどからなる淡路夢舞台も完成し、豊かな自然を生かしたゆとりのある環境が整いました。さらに、国営明石海峡公園の整備も進んでいます。

神戸淡路鳴門自動車道の東浦ICを下りると、新しく完成した東浦バスターミナルがあります。国道28号を通るすべての路線バスがここに停車し、当町の交通拠点となっています。ここには、ねこの絵の専門美術館としては日本で初めての「中浜稔猫美術館」、本格的な陶芸作りを体験できる「陶芸館」もオープンしました。さらに、全国的にも利用率の高いホールや図書館のほか、海岸には海水浴場やパターゴルフ場もあります。また、高台に登れば四季の花々が咲き誇る「あわじ花さじき」があり、年間約50万人の観光客でにぎわっています。さらに、今年2月からは温泉掘削にも取り組んでおり、町営宿泊施設での利用や温泉つき宅地の造成なども考えていきたいと思っています。これらの施設によって、当町では人の交流によるまちづくりを進めています。

福祉の面では、町営の特別養護老人ホームで各種の介護サービスを実施しています。介護保険の保険料は兵庫県下で4番目という高水準ですが、これまでよりサービスが悪くならないよう努力し、住民が本当に幸せになるまちづくりを進めています。

当町は人口8700人ほどの小さな町ですが、いずれは合併によって「淡路一市」の実現を考えたいと思っています。健全な財政による住民サービスの向上のため、国や県のご指導をよろしくお願いいたします。

 

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あわじ花さじき

 

 

 

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