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住民主体のまちづくり 〜自治組織活性化事業の取り組み〜

油井 勝(静岡県大升川町みらい企画課まちづくり推進室室長)

 

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大井川町全景

 

はじめに

 

大井川町は南アルプスから流れ出る大井川左岸の河口部に位置し、丘1つない沖積扇状地の上にあり、どこからでもすばらしい富士を仰ぐことができます。また、北に南アルプス、南に駿河湾、西に大井川を擁し、気候は温暖で雪を見ることは稀です。なお、砂礫層の下層には豊富な伏流水が流れ、日照りの年でも渇水の心配はありません。町は昭和30年に3村が合併し誕生しましたが、昭和40年の町営大井川港の開港や東名高速道路などの交通網の整備とともに工業化、住宅化が進み、就業構造も第1次産業から第2次、第3次産業へと大きな変貌を遂げてきました。最近では、町の中央部に大規模なショッピングセンターが完成し、活況を呈しています。そのような中、「大井川町地域参加のまちづくり条例」が施行となり住民主体のまちづくりが展開されつつあります。

また、現在は"住民と全職員でつくる第3次総合計画"をコンセプトにむこう12年間の総合計画の策定を進めています。

 

自治組織活性化事業の取り組み

 

平成4年7月に就任した横山町長が、同年9月定例議会で「町政は時代の変化に的確に対応し、住民の立場に立ったまちづくりの推進が必要である。〜中略〜自治体行政の根幹は自治組織そのものにある。」と所信表明をして以来「自治組織活性化事業」として、1]住民が自分たちの住んでいる地域の将来について自分たちで考え、これから何をしていくべきか地域の合意形成を図りながら、自分たちで決め実践していくという地方自治の原点に帰ること。2]様々な住民の活動が活発に行なわれる社会をつくり、その活動が町の中で積み重ねられることにより町が活性化していくこと。3]地方分権の時代に備えて役場の職員の力をつけ、住民主体のまちづくりが実践できるまでに高めること。

以上の3つをねらい、まちづくりの仕組みや、制度を確立するため各種の取り組みを進めてきました。

 

《まちづくり出前セミナー》

 

まちづくり出前セミナーは、地域で開催する住民の学習会などに職員が講師として出向き、専門的な知識を生かし説明や実習などを行うことにより、住民の主体的なまちづくりへの取り組みを促進することを目的としています。以前も生涯学習事業の一環として「地域成人学級」へ職員が出向くことはありましたが、どちらかというと消極的なものでした。しかしながら、行政情報を直接住民に伝えることは、地域と役場の壁を取り除き信頼関係を培うこととなると同時に、職員自身の勉強にもなるため、平成8年度後半から「まちづくり出前セミナー」としてリニューアルし、積極的に住民にアプローチしていきました。各課から募集した60の出前メニューには、まちづくり委員会や老人クラブ、地域成人学級からの申込みが多く、平成9年度27件、平成10年度38件の出前がありました。

 

 

 

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