市民からの提言
議論の中では、行政だけでなく、市民自体も何かできるはずだ、という声も多く聞かれ、また、今後も市民参画の機会を様々な場面で求める提言もなされました。
また、委員会を終えての感想のなかにも、市政への関心が更に高まったことや、委員会の継続を求めるもの、行政と市民が協力していくために今回のまちづくり百人委員会の様な行政と市民の距離感をなくしていくことが必要ではないか、という意見も出されています。
市政への関心の高まりや市民のまちづくりに対するエネルギーと熱意に触れて、「まちづくり百人委員会」の今後の展開として、個別具体的な計画、施策の立案段階や実施段階での市民参加の機会を設けることの必要性や重要性を感じているところです。
具体的な市民参加の取り組みへ
本市は特別史跡「大宰府跡」をはじめとする国の史跡指定地が市面積の約15%(約447ヘクタール)を占めており、昭和39年から史跡地公有化事業を進め、国民的財産とも言える貴重な文化財と歴史的な景観の保存に努めています。
しかし、一方では公有化した史跡地の保存や管理、まちづくりへの有効な活用方策については多くの課題があり、行政と市民が一体となった取り組みの必要性が従来から指摘されているところです。
このようななか、史跡地をフィールドに行政と市民が連携した新しい事業として、植栽活動をしている市民グループの助成事業を平成11年度に計画しています。
この市民グループは公有史跡地の管理を市が委託している(財)古都大宰府保存協会が主催した「万葉植物(万葉集に歌われた植物)」に関する講座に参加したことを契機に平成7年度に発足したもので、専門家を招いての学習会や公有化した史跡地に万葉植物の苗を育て、史跡地周辺の植栽活動をしてきました。
一方、市のまちづくりの課題として、史跡地の有効な活用方策を検討するなか、これまでは自主的な活動が主体であった市民グループと提携することとなったものです。
事業内容は、日本三戒壇のひとつであり、市民はもとより、全国から史跡散策や観光に人々が訪れる「戒壇院」前の広場(史跡地)を地域活動によって緑化し、史跡地に助成事業によって高木や肥料、道具などを購入し、市民グループが育ててきた苗木とあわせて万葉植物園として緑化し、コミュニティ活動として、史跡地に相応しい景観づくりに取り組むものです。市民手作りの万葉植物園が市内外から訪れる人達の心を和ませるものとなり、市民に親しみのあるコミュニティ施設となるよう期待しているところです。
おわりに
時代は今、地域の主体性を発揮できる分権型システムへの転換期を迎えています。
まちづくり百人委員会で発揮された市民の英知と行動力を貴重な財産として、今後のコミュニティ活動や様々な施策のなかにも生かし、市民主体のまちづくりを進めていきたいと考えています。